せ、の字も知らないくせに



「うるさいなあ、待ってたんだけど」
「は?いつから」
「さっきぃ!」

 ここは強がるが鼻を思いっきり摘ままれる。直ぐにぱっと手を離される。苦り切った表情で駄目だししてくる。

「鼻冷たいし、赤いし、―――最悪鼻水出すな汚ねえし」
「勝手にしといてなんて言い草!」

 ハンカチで拭くなよ。

「家で待っとけよ、相変わらず馬鹿だな」
「直ぐ言いに来たかったんだもん」
「何を?」
「ふふふーん、何でしょ何でしょ」

 これ見よがしに人差し指でち、ち、ちと指を振る。
 セイは鬱陶しそうに溜息を吐いた。

「うっざ。早く言えよ」
「彼氏できた!!」


 間、というには長い間の沈黙。
 セイの目は点になっている。
 目をぱちぱちと瞬きして目をしっかり擦ったうえで疑問を呈した。
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