せ、の字も知らないくせに



 何度も来たことのある家だけれど、今日上がらせてもらうのはセイの雰囲気から少し気まづい。

 セイの部屋は二階の角部屋にある。先に上がれと言われ、真っ先にその部屋に入る。ブルーを基調とした部屋で、本棚には難しそうな参考書を並べてある。数少ない少年漫画は既に読みつくし済みである。小さなテーブルの傍に三角座りで腰をおろした。セイは暫くしてからお盆にジュースとポテチを載せてやってきた。受け取ってその小さなテーブルに置いて座った。いつもだったら―――。


「今日お母さんとかは?」


 専業主婦のセイのお母さんが持ってきてくれるはずだ。
 セイはぶっきらぼうに答えた。

「旅行」
「ふぅん」

 珍しい。それはなんだかそわそわするな。
 妙な間が出来、セイは切り出した。

「で、店長がなんだって?」
「だからバイト先の店長で」
「何歳なの」

 なぜそんなに詰めるような口調なんだ。お茶とポテチをいただいていることには感謝するが人に聞く態度が悪すぎないかといらいらする。しかもセイは一口も口にしていない。


 いつもはもっとへらっとしてるというか、こんな雰囲気悪くない。
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