せ、の字も知らないくせに
「なんでそんなこと言わないといけないの」
「いいだろ。恋バナにはつきものだろ」

 セイが恋バナに花咲かせているところなんて今の今まで見たことないぞ。

「…35歳」

 セイの顎が外れそうなくらい縦に開かれ床につきそうだった。
 震える声で「うっそだろ…」って呟いた。

「お、じ…」
「じ?」
「いや、なんでもない。なに、相手から付き合おうって言われたんか」
「えへへ」
「……」

 それはもうドラマチックになれそめを語った。
 実際、よくシフトに入っているカンナは好かれていた。持ち前の馬鹿さと明るさがいいように発揮して、店長から可愛がられていたとも思う。そんなおりつい先日、バイト終わりの賄いを食べていた時に彼氏出来たことある?と聞かれた。ないと告げたら皆に内緒で付き合おうかって言われた。キスを迫られたが、恥ずかしくてアッパーを食らわせてしまいとりあえず付き合うだけに終わった。店長は挨拶のようにいつもかわいいねといってくれるし、困っていたら助けてくれる。アッパーの下りを話さなかったのは恥ずかしかったからだ。
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