せ、の字も知らないくせに
セイは険しい顔をしながら、口元を手に当てて黙っていた。
思っていた反応と違う。
もっとそれこそ悔しそうな表情をするんじゃないかと。
心配と傷ついたと言わんばかりの表情で淡々と諭してきた。
「カンナが大人に憧れてる気持ちは分かるし、なんなら告白されたのも初めてだろ。でもさ、考えてみ?35にもなって口説く相手が未成年って、カンナが2、3歳に本気になってるのと同じ差なんだぞ」
それを言われるとなかなかきつい。
「でも優しいし、女の子扱いしてくれるし」
「でも愛玩であって対等じゃないはずだ」
「あ、あい…?」
難しい言葉が噛み砕けない様子を見て言い直された。
「ようはペットと同じ愛情のくくりってこと」
「可愛がってくれるならいいんじゃない」
「そういうところが、馬鹿なんだよ」
吐き捨てたようなものの言い方をされて、かちんと頭にきた。
いつもだったらぶつくさ文句を言うだけだけど、今日という今日は言い返す。
「バカバカいうけど、対等に見てくれないって意味ならセイも一緒じゃない」