貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 淡いピンクのユリのようなフレンチスリーブワンピースに、同色のフィンガーレスロンググローブをはめている。レースでできたそれは手の甲の部分にユリの模様があってかわいい。

 前腕の傷をこんな形で隠せるアイテムがあるとは思っていなくて、初めて腕を出すデザインのワンピースに胸が躍る。

 靴も淡いピンクで、ピンクパールと銀の飾りがついている。
 髪は結ってユリの生花で飾ってもらっている。小ぶりでも存在感があって花に負けていると思ったが、迅が素敵だとほめてくれたからその瞬間からお気に入りになった。

 彼が贈ってくれたイヤリングはユリのデザインだった。ユリだらけ、と思わずつぶやいたら、名前にちなんで、と彼が微笑した。

 隣に立つ迅は深い紺色のスーツに空を思わせる水色のネクタイをしている。ドレスシャツの白とのコントラストが美しい。ユリをモチーフとしたカフスとラペルピンをつけているのがおそろいみたいで嬉しい。

 開始の時間になると、迅のエスコートで会場に向かう。
 会場の前方のドアを係員が開けてくれて、ふたりで並んで入る。迅の両親と兄が続いて入った。

 百合花の両親はすでに会場に来ているはずだが、迅が入場を別にしたという。これだけでも含みがあることが会場の人間には伝わるはずだった。

 絨毯はベージュで壁は白く、庭に面して大きなガラス窓がいくつもある。天井は薄く地模様が入っていて、大きな四角いシャンデリアがきらきらと輝きをふりまいている。

 どこかで見たことがある、と思ったがゆっくり思い出している暇はなかった。
 彼に手を引かれてステージへと歩いて行く。迅の両親と兄はステージには立たずに控える。

 会場にはたくさんのユリのアレンジメントが飾られ、芳香を漂わせている。
 ステージの横には一際大きなアレンジメントがあった。ユリの花が螺旋を描き、人の背丈より高く塔のようにそびえている。
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