貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 迅と一緒にステージに上ると、司会の男性が司会者台の前に立ってマイクに向った。
「本日はご多忙の中お集まりいただき、ありがとうございます」
 いっせいに視線が集まって、百合花の緊張はいや増した。

「お時間となりましたので、婚約披露会を始めさせていただきます。最初に深空迅様からご挨拶申し上げます」
 紹介されて、スタッフからマイクを渡された迅が挨拶をする。

「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。このたび私、深空迅はこちらの蒔田百合花さんと婚約をいたしました。彼女は聡明で優しく……」
 迅が挨拶で百合花をほめちぎるからいたたまれなくなる。が、必死に背筋を伸ばして微笑を浮かべてユリのように凛と立つように心がけた。

 迅が挨拶を終えると、百合花も挨拶をした。
「初めまして、蒔田百合花と申します。このたびは良いご縁をいただきまして……」
 迅と一緒に考えた挨拶を述べて、最後は頭を下げて終える。
 拍手がわいてほっとして迅を見た。彼は笑みを浮かべて頷いてくれた。

「このあとはご歓談の時間とさせていただきます。どうぞお料理もお楽しみください」
 司会が言い、百合花は新たな緊張に姿勢を正した。
 まっさきに百合花の両親が歩み寄ってきて、百合花はさらに緊張する。

 が、父の啓一は百合花には目もくれず宗久に声をかけた。
「このたびは拙女(せつじょ)をもらっていただき、ありがとうございます」
「まったく不出来な娘で」
 啓一に続き、英里子がむすっとして言う。
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