貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「いえいえとても奥ゆかしいご令嬢でいらっしゃる。家事がお得意だそうで」
 嫌味を込めた宗久の言葉に、啓一はまったく表情を変えなかったが、英里子は眉間に皺を寄せた。

 百合花は笑顔がひきつるのをこらえられなかった。
 迅が黙って肩を抱いてくれて、百合花は彼を見た。
 迅の笑顔を見るだけで、いろんな感情が溶けて流れていく。

 大丈夫、彼がいてくれるから。
 百合花はほっとして彼に寄り添って立つ。

「では、またのちほど」
 宗久との挨拶を終えると、啓一たちは百合花には目もくれず背を向けた。ほかの社長らしき男性と挨拶を交わし、話し込む。

 思わずため息をこぼすと、迅が励ますように彼女の肩をぽんぽんと叩いた。
 それからも挨拶に来る人たちが続き、百合花は笑顔を浮かべて迅とともに対応する。

「よう、迅! 招待ありがとな!」
 ようやく人が切れたとき、陽気な声がかけられた。そちらを見ると、明るい雰囲気のスーツの男性がいた。

「鍵田さん、ありがとうございます。百合花さん、こちらは事務所の先輩の鍵田真哲さん」
 紹介され、お互いに「初めまして」と挨拶を交わす。

「ざっくり事情は聞いてますよ。かわいい方だなあ」
 真哲の言葉に照れて百合花はうつむく。
「あまり見ないでください」
 言われた真哲はにやにやと迅を見る。
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