貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「それは失礼。ほかの男には見られたくないってか。婚約披露でこんな会を開くとは思わなかったから驚いたよ」
「彼女との婚約を周知させたかったので」
 平然と迅が答えるので、百合花はさらにいたたまれなくなった。

「あ、あの、私少し失礼します」
 断りを入れて、お手洗いへと向かう。

 少し離れて黒いスーツの男性がふたりついてくるのが見えた。いつぞや家の前にいたボディーガードだ。
 こんなときまで護衛なんて大袈裟だな。
 そうは思うが、迅が心配してくれているのだから、それが嬉しい。

 スマホが鳴ってバッグから取り出すと、見知らぬ番号からだった。
 嫌な予感がしつつ放置すると、留守録に変わった。
 通話が切れるとすぐに留守録を聞く。

『百合花、助けて! お祝いしたくて会場に来たら龍耶に捕まって、このままじゃ殺される!』
 百合花は驚いて留守録を聞き返す。
 と、また着信が来て思わず出てしまった。

『百合花、良かった、助けに来て!』
「今どこに……すぐに人を呼んできます!」

『ダメよ、知られたらすぐに殺されるわ。誰にも知られずに来て。でないと殺されるの』

 そんなわけない。
 そうは思うのだが、もし見放して殺されたらどうしよう。
 迷う百合花を見透かすようにららかは言葉を重ねる。

『私、お手洗いに逃げ込んでるの。あ、龍耶が!』
 途中で電話は切れた。
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