貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「どうして……」
 口を押えられながら、もごもごと言う。
「お前に知る権利なんてないんだよ!」
 龍耶が怒鳴り、百合花はびくっと震えた。

「お願い、私を助けて」
 いつになく怯えたららかに百合花は慌てる。こんな姉は見たことがない。いつも堂々としていて、意地悪く笑う姿しか覚えがない。

 ふたりの間になにがあったのだろう。愛しさ余って憎さ百倍、だろうか。だが、それなら自分が服を脱ぐこととどう関連するのだろう。

 龍耶の前で服を脱がなくてはならないのだろうか。迅以外の男性の前で肌をさらすなんて絶対にしたくないのに。

「服が必要なだけだ、お前をどうこうしようっていうんじゃない」
 続けられた言葉に、百合花は迷う。

 信じられるわけがない。だけど、断ったらららかがどうなるかわからない。なにより今は自分も囚われの身だ。

 悲鳴を上げればすぐに護衛が飛び込んで自分を助けてくれるだろう。だが、そうなればららかはどうなるのだろう。助けられるまでに龍耶がナイフを刺す時間は充分にある。

 劣化コピーとさげすまれ、虐げられてきた。だが、だからといってららかを見捨てたら一生の悔いを残すだろう。

「この状態では脱げません」
 百合花の言葉に龍耶は舌打ちした。

「悲鳴を上げたり反抗的な態度をとったりしたら、その瞬間に殺すからな」
 脅しの言葉にがくがくと頷くと、龍耶があごをしゃくって合図をする。後ろにいた男が離れた。
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