貴方が結ぶ二重螺旋 ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「おい、どうしたんだ」
慌てて真哲が追い、護衛もあとを追った。
逃げ出したららかだが、廊下に出たところで慣れない靴に足がもつれ、転んでしまった。
立ち上がったときにはもう迅が追いついており、腕を掴まれた。
「なにするのよ!」
「おい、迅」
腕を掴んでいるのを見とがめるように真哲が言う。
「現行犯逮捕だ。証人になってくれ」
迅の言葉に真哲は驚く。
「現行犯なら私人逮捕は可能だが……なんの罪だ」
「窃盗だ。この服もカバンもスマホも、なにもかも百合花さんのものだ」
「なによ逮捕って! 警察でもないくせに!」
ららかは暴れるが、迅は腕を離さない。
「早く百合花さんの居場所を教えろ! 今すぐ言うなら警察には言わないでおいてやる。前にも言ったな、窃盗は刑法第235条、十年以下の懲役だ」
または五十万円以下の罰金、という文言を迅は敢えて言わない。ららかにプレッシャーをかけるためだ。
「おい、迅」
事態をいまいち飲み込めていない真哲が咎めるが、迅は返事をしない。
「あの子の物は全部私の物なんだから!」
「どうやら刑務所で暮らしたいようだな。警察が介入すればどのみち百合花さんの場所はわかる。俺が温情を示しているうちに話した方が得だぞ」
ららかの目に迷いが浮かぶのを見て、迅は続ける。
慌てて真哲が追い、護衛もあとを追った。
逃げ出したららかだが、廊下に出たところで慣れない靴に足がもつれ、転んでしまった。
立ち上がったときにはもう迅が追いついており、腕を掴まれた。
「なにするのよ!」
「おい、迅」
腕を掴んでいるのを見とがめるように真哲が言う。
「現行犯逮捕だ。証人になってくれ」
迅の言葉に真哲は驚く。
「現行犯なら私人逮捕は可能だが……なんの罪だ」
「窃盗だ。この服もカバンもスマホも、なにもかも百合花さんのものだ」
「なによ逮捕って! 警察でもないくせに!」
ららかは暴れるが、迅は腕を離さない。
「早く百合花さんの居場所を教えろ! 今すぐ言うなら警察には言わないでおいてやる。前にも言ったな、窃盗は刑法第235条、十年以下の懲役だ」
または五十万円以下の罰金、という文言を迅は敢えて言わない。ららかにプレッシャーをかけるためだ。
「おい、迅」
事態をいまいち飲み込めていない真哲が咎めるが、迅は返事をしない。
「あの子の物は全部私の物なんだから!」
「どうやら刑務所で暮らしたいようだな。警察が介入すればどのみち百合花さんの場所はわかる。俺が温情を示しているうちに話した方が得だぞ」
ららかの目に迷いが浮かぶのを見て、迅は続ける。