貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「よ、読めるわよ」
「母さん、嘘は良くない。最初は『れいらか」って読んでたじゃないか」
 夫の裏切り発言に、春子は慌てる。

「ちょっと間違えただけよ!」
「見合いの写真は実年齢のものじゃないだろ。成人式くらいか? しかも加工がすさまじい」
 上品に仕上がっているが、加工もりもりであることは一目瞭然だ。

「それくらいは普通でしょ」
「向こうに送った俺の写真はこの前の家族写真のときのやつか?」
「あら。よくわかったわね」
「あとでひとりだけ別で撮らせるからおかしいと思ったんだ」
 悔しそうに彼は言う。わかっていたら拒否したのに。だが、その場合は自分も成人式の写真を送られていたかもしれない。

「ふたりとも早く結婚してほしいわ。私は娘がほしかったのよ」
「息子は娘を作るための道具ではないし、昔と違って嫁は娘にはならない」
「そうだけど」
 迅の断言に、春子はふてくされる。

「兄貴が結婚するならそれまで待てばいいじゃないか」
「あなたが結婚すれば娘がふたりになって二倍嬉しいじゃない。京司はぜんぜん彼女を家に連れて来てくれないし」

「はは、母さんの餌食にするつもりはないよ」
「餌食って、ひどいわ」
 ぶつくさ言う春子に、迅はため息をついた。

「とにかく会えばいいんだな。その後に断るが」
「それでいい。今度の日曜日、頼んだからな」
 満足そうに宗久が言う。
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