貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「わかった。じゃあ俺は帰る」
「泊っていけばいいじゃない。あなたの部屋、そのままにしてあるわよ」
「いや、帰って確認したい書類があるんだ」
「持ち帰ってまで仕事なの? 弁護士って大変。体がもつかしら。やっぱりお嫁さんが必要よね」
 春子は心配そうに迅を見る。

「そういう時代じゃないし、体調くらい自分で管理できる」
 呆れながら言い、迅は家を出て車で帰宅する。

 信号の待ちの間、ふと回想にひたる。
 失恋ではないが、忘れられない思い出はあった。

 まだ小学生、五年生の頃だった。
 両親に連れられて行った初夏のガーデンパーティーで、迅は退屈していた。

 大人ばかりが楽しそうに談笑していて、子どもの自分は所在ない。プレゼントだよと渡されたきれいなラッピング。中身はクッキーだがあとで食べるようにと言われたし、一緒に入っていた銀のユリのチャームストラップは女の子向けにしか思えない。

 わーっと声がしてそちらを見ると、人だかりができていた。
「あれ、なに?」
「双子の天使が来たらしい。とってもかわいいらしいぞ」
「ふうん」
 興味もなくちらりとそちらを見ると、人垣の隙間から幼い天使たちが見えた。
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