貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 探すように手を伸ばすと迅がしっかりと握ってくれて、それで百合花はまた勇気を振り絞る。

「だけど、彼と出会うことができたのは産んでくれたからです。だからそれだけはお礼を言います。育ててくれてありがとうなんて言いません。育ててもらった覚えはないですから」
「良く言った」
 迅が労うように強く手を握ってくれて、百合花もぎゅっと握り返す。

「なんて子なの! みなさん、聞きましたか、こんなひどいことを言うのが娘なんて!」
「あらあら、違いますよ」
 春子が口をはさみ、迅とは反対の側の百合花の隣に立つ。

「これからは私の娘になるんです。元お母様はご遠慮いただけますかしら」
 言ってから、春子は百合子を見る。

「私、百合花さんに娘になってもらいたいってずっと思ってたの。家政婦、ましてや奴隷になんてしないわ。法的にも娘になってもらおうかしら。大人の養子縁組は本人の意志でできるのよねえ?」
「できますよ」
 迅が即答し、百合花は目を潤ませる。

 いつだったか、家政婦として雇ってほしいと言ったときに断られた理由が、ようやくわかった。春子の気持ちがうれしくてたまらない。

「なんなの、あなたたちは!」
 英里子は怒りで顔を紅潮させる。
「ららか、あなたは違うわよね、あなたはちゃんと私に感謝してるわよね?」

 英里子はすがるように言うが、ららかは、ふん、と鼻をならす。
「あいつと見分けられなかったくせに母親面すんの」
 英里子は顔を歪め、全身を怒りに震わせた。
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