貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「もう知りません、みんな勝手になさい!」
 英里子は憤慨し、肩をいからせて人の輪から出て行った。

「待ってよ!」
 一緒に出て行こうとしたららかと龍耶を、駆け付けた警備員が取り囲む。

「なによ!」
「なんだよ!」

「お前たちは逃がさない」
 迅が断言し、警備員の輪が一歩縮まる。倫太郎はおどおどと立ちすくんでいる。

「警察は呼んだからね、もうすぐ来るってさ」
 スマホをぷらぷらさせて真哲が言い、龍耶は悔し気に口元を歪めて迅をにらんだ。

「警護がいたらず、申しわけございません」
 護衛が迅と百合花に頭をさげる。
「その件はまた後日」
 迅は警備員に目を向けた。

「彼らを別室へ連れて行ってくれ」
 警備員に言うと、彼らは龍耶とららか、倫太郎を逃げられないように取り囲んで別室へと連れて行く。
 いたたまれなくなった啓一も無言で会場を後にした。

 残された人々はざわざわとざわめき、困惑が会場に満ちる。
 荒れた空気に、迅は両親を見た。

「とんでもない婚約披露になったな」
 宗久がため息交じりに言う。
「場を荒して申し訳ありません。母さん、百合花さんを頼みます」
「いいけど……どうする気?」
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