貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「代わりに、ですか?」
 今までにも代わりを命じられたことはあった。大学の授業がめんどくさいから行ってこいと言われて行ったら、翌日には罵倒された。ららかの友達から「無視された」「態度が悪かった」などのクレームが来たというのだ。百合花は彼女らに声をかけられても気付かずに通り過ぎてしまったらしい。

 それ以降はららかも凝りたらしく身代わりをさせられることはなかったが、よりによって見合いに行けと言われるとは。

「明日、龍耶が軽井沢でプロポーズしてくれるのよ。だからお見合いはあんたが私として行ってきて」
「西園寺様と結婚されるのでしたらお見合いはお断りになるのですか?」
「あんたバカじゃないの!」
 ららかの顔が意地悪く笑みに歪む。

「それとこれは別。結婚は御曹司とするわ。ホストなんて一生の相手じゃないわよ」
 百合花は絶句した。
 そう思うのならどうしてプロポーズなど受けるのか、百合花にはわからない。先日もあんなに嬉しそうにもしていたのに。

「わかんないって顔してるわね。あんたみたいなブスには一生わからないでしょうね。私はいろんな男から愛されるの。そうされて当然の女なんだから!」
 わかりたくもない。自分ならただひとりを愛して、その人に愛されたい。

 言い返せるわけもなく、飲み込んでほかのことを口にする。
「ですが、私はそういうときに着られる服を持ってません」
 ららかは眉間に皺を寄せた。

「仕方ないから貸すわ。明日は龍耶が八時に迎えに来るから、あんたは八時から買い物に行くってママに言うのよ」
 八時から開いてる店で、なおかつずっと行っていなくてはならない買い物ってなんだろう。
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