貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 だが、今日は食べても食べても次々と料理が出て来る。残してはいけないと思って必死に食べるのだが、だんだん気持ち悪くなってくる。媚を売る余裕などなかった。
 デザートを必死に食べ終えたころには、おなかが破裂しそうだった。
 なんの話をしたのかも記憶に残らないほど、吐き気と戦う。
 食事を済ませてしばらくすると、英里子が言った。

「こちらは屋上庭園があるそうです。ぜひご子息に娘をご案内いただけたらと思いまして」
 今動いたら吐き気が悪化しそうだ。が、百合花に拒否権はない。
「ぜひお願いします」
 苦しさをこらえて、そう言った。

「いいですわね、迅、行ってらっしゃい。私は先にお(いとま)するわね」
 迅はため息をついた。
「わかりました。行きましょう」
 彼が立ち上がるので、百合花も慌てて立ち上がり、あとをついていく。

 建物内にある案内表示に従い、庭園へと赴く。
 屋上庭園って、本当の屋上じゃないんだな。
 庭園に出た百合花はそんなことを思ってビルを見上げる。

 それは十二階にあり、ビルはなお高くそびえている。
 目を戻すと、迅が無言で立って待っていた。
 百合花は慌てて彼の隣へ歩いて行く。

「すみません」
「いえ」
 迅は言葉少なに答える。
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