貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「それほど怖い母と姉なのか」
「ち、違います! ふたりとも私によくしてくれてます!」
「妹であることは認めるんだな」
 はっとして百合花は口を押えた。
 まんまと誘導にはまってしまったようだ。

「私、帰ります!」
 百合花はベッドから降り、テーブルの上にあった自分の――正確にはららかのバッグをひったくる。
 と、手が滑ってバッグが落ちてしまい、中身がちらばる。

 慌ててしゃがみこんで拾う横から手が伸び、百合花のスマホを手に取る。そのストラップには思い出の銀のユリのチャームがついている。
 青ざめて見上げると彼が片膝をついて百合花のスマホを手に難しい顔をしている。

「あ、あの……返してください」
「体調は大丈夫か?」
「はい、ですから」
 スマホを返して、という思いを込めて答える。

「なら、事情を話してもらおうか」
 有無を言わせぬ口調に、百合花は硬直する。

「事情なんてないです」
「事情もないのに人を騙したのか?」
「それは……」
 何と言い繕えばいいのだろう。だが相手は弁護士だ。なにを言っても穴をつつかれてすべてを暴かれる気がする。
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