貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「どうなんだ、ららか(・・・)さん?」
 百合花は言葉につまる。
 言葉ではすべて退路を塞がれて逃げることはできなさそうだ。
 百合花はへなへなと座り込み、敗北にうちひしがれながら語った。

「姉に頼まれました。姉は……その、用事ができて来れなくなったので」
「だったら最初からそう言えばいいだろう。それ以前に、日にちをずらせばよかっただけだ。どうして身代わりに来た?」

「そう言われて……」
「自分で考えることもできないのか」

 びくっと震えて百合花は自分を抱きしめる。
 その通りかもしれない。英里子やららかに命令されればいつも盲目的に従っていた。結局はそれが一番、自分の身を守れるから。

「お願いです、誰にも言わないでください!」
 百合花は床に頭をつけて頼み込む。
「バレたら殴られるのか」
 百合花は床に頭をつけたまま頷く。

「ですから、お願いです、誰にもなにも言わないでください」
 彼女の悲鳴にも似た懇願に、迅は眉間に皺を寄せた。

「誤解しないでくれ。俺は君を助けたいと思っている。だから顔を上げて」
 思いがけず優しい声が降って来て、百合花は顔を上げる。
 と、すぐ近くに迅の顔があってどきっとした。暗い褐色の瞳の奥に、燃えるような真剣さがあった。
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