貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「それならあなたは私の娘ね。ぜひそうなさいな」
 春子が話に乗っかるので、百合花の戸惑いは深まる。
「そうと決まればお買い物に行きましょう!」
 春子が笑顔で立ち上がり、迅は苦いものを浮かべて立ち上がる。

「心配だから俺も付いて行く」
「あらあら」
 春子は含み笑いを隠そうともせずに迅を見る。
 百合花は事態についていけず、ただおろおろとうろたえた。

 それからのことは百合花にとっては驚愕の連続だった。
 買い物はすべて百合花のためだった。
 百合花は春子に言われるがままに試着し、化粧品コーナーで化粧をさせられた。

「娘と買い物に行くのが夢だったのよ」
 と春子は上機嫌だったので、百合花は戸惑いながらも彼女に連れ回される。

 だが、どこか嬉しくもあった。『母』と仲良く買い物をするのは百合花にとっても夢だったから。
 迅は彼女らを優しく見守り、ときおりつっこみを入れて春子の暴走を止めた。
 兄がいたらこんな感じなのだろうか、と百合花は眩しく彼を見た。

 買い物を終えると、高そうなレストランに連れていかれた。
 上品なフロアに洗練された給仕の接客。客はきらびやかでレストランと同じく上品だ。

「遠慮なくなんでも頼んでね」
 にこにこと春子は言うが、百合花はなにをどうしたらいいのかわからない。
「体調が大丈夫なら、このコースはどうだ」
 と迅がメニューを見せて言う。
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