貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「あら、迅が人に優しくしてるのを見るのは初めてだわ」
 春子が浮かれた様子で言い、迅は無表情でじろりと春子を見る。

 百合花は恥ずかしくうつむいた。
「たくさんは食べられないので、少しだけいただきたいです」
「小食なのね。お昼も大変そうにしていたものね」
 春子がそう言い、百合花にいろいろ尋ねたうえでウェイターにアラカルトを頼む。

「すみません」
 百合花が小さくなっていると、春子は微笑を浮かべて小首をかしげた。
「この程度のこと、謝ることじゃないのよ」
「食事の前にいいか」
 迅が断りを入れたので、百合花と春子は彼を見た。

「この店に来る前に、蒔田家に連絡をいれた」
 百合花の頬がひきつった。

「ららかさんとの縁談は断った。百合花さんが買い物で立ち寄った店で偶然に出会い、体調を崩していたので我が家で保護した、インフルエンザで寝込んでいると言ってある」
「あら、婚約者じゃないの?」
「無理があると言ったのは母さんだろ」
 迅は目を細めて春子を見る。

「スマホを貸してくれ。君の親にメッセージを送りたい」
 百合花は顔認証でスマホのロックを解除し、メッセージ作成画面にして彼に渡す。
 彼はぱぱっと操作して、メッセージを作成、送信した。
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