貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 迷ったが、結局は朝食を作り始める。
 軽い足音がして春子が入ってきた。

「おはよう、ごはんを作ってくれてるの?」
「おはようございます。ご迷惑でしたら申し訳ありません」
「いいえ、助かるわ」
 春子はにこっと微笑んだ。

 しばらくすると迅が入って来た。すでにスーツを着ている。
「いい匂いだな」
「珍しく泊ったかいがあるわね。百合花さんの朝食が食べられるわよ」
「そうか」
 迅が無表情で答える。

 サラダとスープに加え、パンを焼く間にベーコンエッグを作る。
 ふたりぶんの配膳をしてそばで控えていると、迅と春子が疑問を浮かべて百合花を見た。

「君はもう食べたのか?」
 迅が尋ねる。
「いえ、あとでいただきます」
「……ふたり分しかないように見えるが」
「同じものをいただくなんてできません」
 迅と春子が驚くので、百合花はいたたまれなくなった。自分はなにか変なことを言ったのだろうか。

「あの家ではそうだったのか?」
「……はい」
 恥ずかしくてうつむく。
「時間がかかるわね」
 春子は苦笑するように呟いた。
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