貴方が結ぶ二重螺旋 ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
それからの日々は百合花には戸惑うことばかりだった。
通いの家政婦がいるからと家事を禁止され、春子にあちこち連れまわされた。
百合花はいちいち遠慮したが、
「いいじゃない。ね、私の気晴らしの相手をなさって? それがこの家でのあなたのお仕事よ」
そう言われると、もう断り切れなかった。
春子と一緒に映画を見たり観劇をしたりお茶をしたり。食事は一緒にとるように言われ、緊張しながら同席した。
春子が連れ回すと同時にマナーの教育もしてくれていると察してからは大人しく学んだ。
こうやって食べると美しいでしょ、こういうときはこうするのがいいのよ。
押しつけがましくない教え方がとても自然だ。
服のさばきかた、上品な歩き方、観劇のマナーや良い姿勢の保ちかた。
すべてが新鮮だった。
今までにしたことのないことの連続で、驚いたり笑ったり恥ずかしくなったり、感情が忙しかった。楽しいことばかりで、だから夜にベッドに入るころには不安になった。
こんなに幸せでいいのだろうか。
あとで二倍、三倍になって不幸が押し寄せないだろうか。
不安とともに眠った。
だが、朝になって春子の笑顔を見るとなんだかほっとしてそれが消えていく。