貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「こ、婚約者なら、家事をするのはきっと普通です」
「そう来たか」
 迅はにやりと笑う。喜びと満足感が漂っている。

「では、近日中に家に来てくれ。荷物は俺が運ぶ。鍵のかかる部屋があるから、そこを君の部屋にしよう」
「え!?」
 住み込みだと思わなかった百合花は驚く。

「ここから通いだと手間だからな。君には手を出さないから安心してくれ」
「で、ですけど」
 百合花はひたすら動揺し、身じろぎした。思ってもみなかった方向に話が転がってしまっている。

「それとも俺は信用に値しないか?」
 そう言われると、百合花にはひとつしか答えようがない。
「信用、しています」
 言いながら目を彷徨わせ、それから尋ねる。

「奥様……春子様にはどうお伝えすれば」
「俺から言っておく。だから安心して来てくれ」
 なにをどう言っても逃げ道は塞がれてしまいそうだ。
 百合花は観念した。

「では、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
 答える迅の顔には優しい笑みがあって、百合花の胸は熱くなる一方だった。

***

「百合花がミソラの次男と婚約ですって! どういうことなの!?」
 玄関のドアを開けた直後、啓一は妻の英里子に食ってかかられた。英里子の隣にはむすっとしたららかが立っている。
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