貴方が結ぶ二重螺旋 ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
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百合花を俺の家に連れて行く、と迅に言われた春子は「あらあら」と笑った。
最初、迅が百合花を連れ帰ったときにはどうなることかと思ったが、事態は春子の願った方に転がっているようだ。
さらにもう一押し、と春子は企む。
昼食を終えたあと、春子は百合花に猫なで声を出した。
「ねえ百合花さん、お願いがあるのだけど」
「なんでしょう」
目を輝かせる百合花に、春子は笑みを禁じえない。役に立ちたい、と全身で言っている姿が愛おしい。
「あの子ったら忘れ物をしたの。届けてくださらない?」
「はい!」
百合花は勢い込んで答える。
「忘れ物はこれね」
春子はかわいい小さな紙袋を彼女に渡した。中身はハンカチ。忘れ物は口実で、迅に会いに行かせたかっただけだ。
「中身は重要なものなの。お願いね」
「はい!」
気合十分な百合花の返事に、英里子はにっこりと笑った。