貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「下まで送ろう」
「そんな、大丈夫です」
「俺が送りたいんだ」
 肩を抱かれ、百合花は落ち着かない気持ちで目を泳がせる。
 受付の女性が目を丸くして百合花たちを見ていたので、いたたまれなくなった。

「では、お願いします」
 一刻も早くその場を立ち去りたくて、彼にそう言っていた。
 迅とともにエレベーターを降りてビルを出る。
 夏の熱気がむわっと漂い、ゆらりと空気が揺れる。

 と同時に、これで迅とはお別れだと寂しくなった。仕事が終わったら帰って来るのに。
 送ってくれたお礼を伝えようとしたとき。

「あんたなんでこんなとこにいるのよ!」
 突然の叫びに、百合花は驚いて顔を向ける。
 そこにはららかが怒りの形相で立っていた。いつも通りに露出が多い。黒いキャミソールに透けた白いメッシュのカットソー、白ヒョウ柄のミニスカート。生足に赤いソールの黒いミュールを合わせている。

「ららか様、どうしてここに……」
「GPSで探したのよ!」
 怒鳴られて思い出す。スマホにはGPS共有アプリを入れられて管理されていた。

「何回電話しても無視して! 劣化コピーのくせに生意気!」
「申し訳ありません」
 思わず頭を下げると、すっと迅が前に出た。
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