貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「景色?」
 聞き返され、百合花は慌てた。高速道路によくある防音壁が続くばかりで、嘘だということがバレバレだ。

「これできれいだというなら、この先は感動的な景色ばかりだな」
 からかうように言われて、百合花は恥ずかしくて縮こまる。

 車はインターを降りると広々とした駐車場に到着した。
 彼に連れられて入ったそこは夏だけ開場するユリ園で、色とりどり多種多様のユリが咲き乱れているという。

 入ってすぐのところにはすでに強い芳香が漂い、ユリの花の花時計の前で多くの家族連れやカップルが記念撮影をしている。
 百合花たちも撮影してから奥へと進む。
 白、黄色、、オレンジ、ピンク、緋色に黒。思った以上にバリエーションがある。花はラッパのようだったり花びらは反りかえっていたり、下を向いていたり上を向いていたり、様々だ。

 百合花はパンフレットを見た。
「ユリって北半球だけで百種類もあるんですね。日本には十五種類が自生してるそうですよ」
「思ったより多いな」
 迅の感心したような口調に、百合花はさらに続ける。

「花びらは六枚あるように見えますけど、本当の花びらは三枚で、残り三枚はガクなんだそうです」
「花びらにしか見えないのにな」

「江戸時代には球根がヨーロッパに渡って人気だったそうです。日本書紀や古事記にもユリの花のことが書かれていて、奈良時代の絵にもユリの花が描かれていたそうですよ。弥生時代には球根を食べていたそうです。ユリ根っておいしいですもんね!」
「今日一日でユリ博士になりそうな勢いだな」
 くすっと迅に笑われて、百合花は慌ててパンフレットを閉じた。
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