貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「この前お話ししたときにそうおっしゃってくれなかったのはどうしてですか?」
「……自分が情けなくて」
 彼はユリを見つめたままそう言った。悲しさと切なさが浮かんでいて、百合花の胸がしめつけられる。

「君を助けに行くと誓った。なのに大人になってからも探し出せず、君を苦境に置いたまま俺だけが普通に生活してきたのが申し訳ない」
「あなたは約束を守って助けに来てくださいました!」
 思わず彼の腕にとりすがり、振り向いた彼と目があってハッと手を離す。

「すみません、つい……」
「いや、いい」
 迅は穏やかな笑みを目に湛えて、百合花を見る。

「婚約を、本物にしないか?」
 唐突な提案に、百合花は目を丸くした。

「君さえ良ければ、だが」
「そんな、私なんか……」
「『なんか』は禁止だ」
 やんわりした口調で、だがはっきりと迅は言う。

「で、でも、姉のほうが社交的で、男性はみんな姉のほうが素敵だって……」
「あれは社交的とは言わないし、素敵だとは思わない」
 迅はまた断言する。百合花は戸惑い、さらに言う。

「腕に傷があるから、私なんて魅力がないって……」
「家族にそう言われてきたんだな。だが君の価値はその程度で傷付かない」
 百合花は目を丸くして彼を見た。
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