貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 なのにどうして御曹司に選ばれたのがあいつなのか。そういう幸福を享受するのは自分のはずなのに。
 自室に戻ったららかはスマホを手にすると龍耶に電話をした。

 コール音が鳴る間、自室のショッキングピンクの壁をにらみつけて待つ。
 ピンクのヒョウ柄のカーペットの上には同じくピンクのヒョウ柄のベッドカバー。
 うるさい部屋、と英里子には評されたが、古臭くて仰々しいデザインばかりを好む英里子には言われたくなかった。このかわいさがわからないなんてババアの証拠、とすら思っている。

「もしもし」
「私よ」
「ららか、どうした」
「お願いがあるの」
 甘えた声で言うと、龍耶のため息が聞こえた。

「今忙しいんだよ。もうすぐ開店なんだからさ」
 ららかはむっとした。いつもは自分を優先してくれるのに、今だって当然優先するべきなのに。いったいどれだけ金を使ってやったと思ってるのか。

「話なら店に来てくれよ」
「またあ?」

「頼むよ、店の外で会うと店長がうるさくてさ。本当はゆっくり会いたいんだけど。愛してるのはららだけだからさ」
「しょうがないなあ、行ってあげる」

「さすがららか! 愛してるよ!」
 ちゅ、とキスの音を立てて電話は切れた。
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