貴方が結ぶ二重螺旋 ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
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閉店後、龍耶は迎えに来たららかに驚いた。
免許を持っていないはずの彼女が黒い外車を運転してきたからだ。そのメーカーの中でも高ランクのものであることは、高級車を見慣れている龍耶には一目でわかった。
「免許なんていつ取ったんだよ。車、すげえな!」
「内緒よ」
ららかは上機嫌で龍耶を助手席に乗せて走り出す。
龍耶はすぐに不安になった。
ららかは運転がぎこちなくて異様に緊張している。ふらふらしていて、センターラインをはみ出すこともしばしばだ。免許とりたての人間でもここまでよたよたしないだろう。
「お前、本当に免許とったのか?」
「話し掛けないで! 外を走るのは今日が初めてなんだから!」
言った直後だった。
がん! と音をたてて車が歩道の縁石に乗り上げる。
「ああ、もう!」
ららかはハンドルを左右に動かして必死にアクセルを踏むが、タイヤは空転するばかりだ。
車を降りた龍耶は舌打ちした。
最近はついてない。
ららかが店に来るのを渋り始めて売上が落ちている上に、こんな事故だ。
社長令嬢で金を落としてくれる相手でなければさっさと捨てている。プロポーズだって逆玉に乗りたかっただけだ。SNSで『御曹司と結婚する』と言っているのを見たことがあるし、龍耶にとって都合が悪くなる一方だ。