貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「業者を呼ぶしかねーな」
「パパの車、内緒で乗って来たのに。怒られちゃうじゃない」
 ららかはすねて見せる。

「慣れてないならもっと小さいのに乗れよ。軽があっただろ」
「いやよ、百合花が買い物に使ってたおんぼろよ。私にふさわしくないわ!」
 龍耶は顔をしかめて嫌悪をやりすごす。
 どうせ事故の対応も彼女にはわからない。めんどうだが、自分がやるしかない。単独の事故だし警察には会いたくない。業者だけでいいか。

 龍耶は仕方なくららかの代わりにレッカーを手配した。
 ららかはそれを当然と思っているようで、礼はおろか事故の謝罪すらないのが腹立たしい。
 夜になっても熱気は消えず、立っているだけでだらだらと汗が流れ出る。

 何台もの車がとおりすぎ、そのたびに中に乗っている人にじろじろと見られた。
 ららかは隣でスマホをいじって待つ。
 それらのすべてが不快だが、龍耶は怒鳴りたい衝動をこらえた。まだまだららかは大事な金づるだ。

 ふと見るとパトカーが回転灯を光らせて近寄ってきた。
 そのまま乗り上げた車の傍に止め、ふたりの警官が降りて来る。

「事故があったと通報があってきました。運転していたのは?」
「こいつです」
 龍耶はすかさずららかを示す。
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