クールな天才作家は彼女を激愛で溶かしたい
「里帆。わかった?」

「え?」

「いいから。そのまま前向いて堂々としてなさいよ? ほら食事とるわよ! お腹空いてるのよ。私お酒飲めないから、そこのジュース取ってちょうだい」

そう言って立食形式で食事が並ぶテーブルの前で食べ始める私たち。

「お酒飲めないんだね」

私とは大違いだ。

「一滴も無理なの。体質的に駄目みたい」

「ふふ。ガンガン飲んでそうなのに」

「うるさいわね」

なんて言いながら、食事もなかなか美味しくて私は遠慮なくお酒を飲む。

「こんばんは。来てくれたんだね」

すると男性が話しかけてきた。

「こんばんは、三谷さん。本日はお招きいただきありがとうございます」

稲盛梓は三谷さんという50代くらいの男性に笑顔を見せる。

私も一応笑顔で会釈をする。

「こちらは? モデルさん? 見た事ないな。こんな美人見逃すわけないんだけどな」

そう言って私の事を舐め回すように見る。
うげ。
ちょっと気持ち悪いかもこの人。
なんかギラギラしてるし。

「三谷さん。こちらは私の友人なの。そっとしておいてもらえる? 芸能界には興味がないから」

「なんだ。それは残念。でも気が変わったら僕の事務所に入ってよ。君なら大歓迎だ」

そう言って私にも稲盛梓にもお酒を注ぐ男性。

「君たちの、綺麗な瞳に乾杯」

うわっ。
笑っちゃいそう。

とりあえず私はそのまま注がれたお酒を飲んだ。

あ、稲盛梓は飲めないじゃん。

チラッと見れば笑顔だがやはり困った顔をしているようにも見えた。

「あ、あそこに美人がいますよ!」

私は咄嗟に三谷という男性の後ろを指差す。

「え? どこどこ?」

彼が後ろを向いた隙に稲盛梓のグラスを横取りして一気に煽って空のグラスをまた返す。

「あー、もう行っちゃいましたね」

「なんだよー。ははは。君たちより美人なんていないだろ。まず今日は楽しんで行って。それじゃ」

そう言って三谷という男性は違う女性に話しかけに行った。
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