クールな天才作家は彼女を激愛で溶かしたい
「でも今回の彼氏はそんなんじゃないもん!」
ホテルの前まであと少しという所で、私たちはやいやい言い合いを始めた。
「はっ! どーだか」
「違うもん!」
「お前そろそろちゃんとした奴と付き合えよ」
「何でそんな事言うのよ!」
飛鳥ほどちゃんとした人なんていないわよ!
「里帆。この際だから言う。俺はお前が…」
「里帆」
その時、前方から聞こえてくるはずもない声がして私は勢いよく振り向いた。
「あ、飛鳥…?」
そこには飛鳥がいて、ゆっくりとこちらへ歩いて向かってきていた。
え!?
どゆこと!?
本当に来てくれたの!?
「こんばんは。あなたは?」
飛鳥は私の頭を一度ポンと撫でると直ぐに健司に話しかけた。
「こんばんは。俺は里帆の幼馴染の健司って言います」
「幼馴染?」
飛鳥は私に尋ねる。
「そうなの。実家が近くて、高校まで一緒だったの」
「へぇ。里帆がお世話になったようで」
「あなたは?」
健司の顔が険しい。
「俺は、里帆の恋人の伊集院飛鳥です」
飛鳥もまた僅かに笑みを浮かべてはいるが声は低い。