パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 しかしなにも起こらず、目を開く。伊澄さんは体を元に戻し、優しい笑みを浮かべていた。
 それで、安堵と同時に少しの寂しさが胸を襲う。

 私、なに期待して――。

 胸に手を当て、騒いでいる鼓動を落ち着かせる。すると伊澄さんは、そんな私のおでこに優しいキスを落とした。

「戸惑いなんか無くなるくらい、千愛里を夢中にさせるから」

 思わず目を見開いた私に不敵な笑みを浮かべ、伊澄さんは立ち上がる。

「本当はずっと一緒にいたいが、今日は帰る。また、連絡するよ」

 伊澄さんはそう言い残し、我が家から去っていった。

 私は彼を見送った玄関で、しばらく立ち尽くしていた。
 胸元に戻ってきた指輪をそっと握る。触れた胸から聞こえる鼓動は、全然収まっていない。

 ドクン、ドクン。胸が熱い。頬も熱い。
 まさかもう一度、彼にこんなに心を乱される日が来るなんて。
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