パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 場所を確認すると、ここからでもそんなに遠くはなさそうだ。

 だけど以前、航空祭で大雅と由芽さんがいいムードになっていたのを思い出し、私はそこへ向かうのを躊躇してしまう。
 黙っていると、彼が続けて口を開いた。

『オージさんが飛ぶって知って来たんだろう? 一番前で、見たくないか?』
「それは、見たいけど」

 言葉を濁していると、電話の向こうで『うわ!』と小さく大雅が叫んだ。

『私たちの恋の背中を押してくれた千愛里さんに、恩返ししたいんです!』

 電話越しに聞こえたのは、由芽さんの声だ。いつもお嬢様然とした彼女の力のこもった声に、私は驚いてしまう。

 ふたりには、伊澄さんと再会したことは告げていない。だからこそ、こうして手を尽くしてくれるのだろう。優しい友人だ。

「ありがとうございます、でも本当にいいんですか?」
『もちろん。黒木さんから連絡があって、だったら一番前まで行こうって言ったの私なんです。千愛里さんには、幸せになって欲しいんです』
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