パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 周囲のざわめきが聞こえなくなるほど、私はその様子に見入ってしまった。

 伊澄さんはこれから、本当に空を飛ぶ。

 彼がいつもこなしている任務の一端を見るのだと思うと、つい肩に力が入ってしまう。私はいつの間にか、両方のこぶしを握っていた。

 滑走路に入り、加速するFー15。そのスピードに胸がざわめく。
 Fー15の滑走路を走る速度が、どんどん速くなる。やがて前輪が、そして後輪が、滑走路から離れる。

 伊澄さんが、飛んでいる。

 その事実に胸が熱くなり、泣きそうになった。
 私にとって、空を飛ぶ彼はやっぱり特別なのだ。

 あっという間にFー15は空の彼方に消えてしまったけれど、私はしばらく彼が飛んで行った方向を眺め続けていた。
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