パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「千愛里ちゃん、待って」

 水島さんに呼び止められ、リビングの入り口で足を止めた。彼は客間とこちらを隔てる襖を閉め、そっと私の方へやってくる。

 襖が閉まる瞬間ちらりと見えた父は、まだ向こうを向いていた。

「ご連絡いただき、ありがとうございました。父の顔を見て、安心はしたんですけど……」

 父に聞こえてしまわぬように、声を潜めてそう言う。
 だけどそこまで言いかけて、先ほどの父の様子を思い出してしまい、私は顔を伏せた。

 一度は安堵した。だけど、また倒れるようなことがあったら。その原因の一端が、私だとしたら。私はきっとまた、同じ思いをする。

「安心して。神崎電機の件は、今日で一旦片が付いたんだ」

 黙ってしまった私に、水島さんが声を潜めてそう言って、優しい笑みを向けてくれた。

「本当ですか?」
「ああ。今後は、杉下建機からの受注に力を入れていくことになると思う。もう、オーバーワークにはしないし、そこは私も責任を持って調節しようと思ってる」

 水島さんは言いながら、申し訳なさそうに眉をひそめた。
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