パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 父はそこまで言うと、一度口ごもる。その顔は、悲しそうに歪んでいる。

「戦闘機の機体異常で、墜落死した。目下に会った住宅地を避けようと墜落しながらも操縦を続けて、脱出が遅れたそうだ」

 思わぬ話に胸がぞわりと震え、一瞬呼吸が止まってしまった。

 父の幼馴染のように、伊澄さんがFー15と共に地面に落ちてゆく様を想像してしまったのだ。

 戦闘機パイロットの危険性を知らなかったわけじゃない。
 だけど、伊澄さんはブルーインパルスもつとめ上げたトップパイロットだ。操縦の腕は確かだから、彼なら大丈夫だと思っていた。

 しかしもし、伊澄さんが父の同級生と同じ状況に陥ったら。彼はきっと同じ選択をすると思う。

 嫌な想像が脳内で勝手に繰り広げられる私に畳みかけるように、父は続けた。

「彼だけじゃない。この近くに住んでいると、自衛官を目指す人間は一定数いる。だが彼らは有事の際に、家族を放って行く人だ。千愛里は、そういう男と一緒になるという覚悟はあるのか?」
「それ、は……」

 先ほどの想像で動揺してしまい、「はい」と頷けなくなってしまう。私に、そんな覚悟はあっただろうか。
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