パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「伊澄さんには、飛んで欲しいんですよ?」

 慌ててそう付け加えた。だけどその声も小さくて、自分に嫌気が差す。
 申し訳なくて、そっと彼を見上げた。すると、彼は真面目な顔で言葉を紡ぐ。

「一度ふたりで、きちんと話そうか」

 その真剣な瞳に、私はごくりと唾をのんだ。

「俺の仕事のこと。俺が空を飛ぶ理由。千愛里に、きちんと知ってもらいたい」

 伊澄さんの声色と私をじっと見るその瞳に、彼の気持ちが伝わってくる。
 こくりと頷くと、彼はふっと表情を緩めた。

「来週辺りで、出かけられそうな日を教えて。デートしよう」


 あれから何日かが経った。いつものように仕事をするが、気持ちは晴れない。

 あの夜、今日はもう遅いからと、伊澄さんは私に「愛している」とキスを落として帰っていった。
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