パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「本当にここにいた」

 彼女はそう言うと、こちらにずかずかと大股で歩いてくる。

「楠木さん?」

 彼女は私の声を無視してこちらへ来ると、私の目の前で立ち止まる。それと同時に、キッと私を睨んだ。

「あなた、なんてことしてくれるんですか!」

 唐突に怒鳴られ、私は目をまたたかせた。
 だけどすぐ、この間迷惑をかけたことだと思い至り、頭を下げる。

「すみませんでした、あの日は本当にご迷惑を――」
「空賀三佐、ウィングマークを捨てようか悩んでます」
「え……?」

 下げた頭を思わず上げ、彼女の視線を真っ向に受ける。彼女は私を睨むようでいて、泣きそうでもあった。

「彼はあなたのために、地上勤務になりたいとまで言ってました。あなたがいつまでも、彼を誑かすからじゃないですか? 彼の邪魔をするような真似はやめて欲しいと、前にも言いましたよね?」

 彼女の私を睨みつける形相が、今までよりも必死に見えた。
 だけど私はどうして伊澄さんがそんなふうに悩んでいるのか、見当もつかない。
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