パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 しかし、琉星がいなくなったと聞き、すぐさまレストランをキャンセルし彼女の腕を引いた。
 早く彼女を、安心させたいという一心だった。

 無事、琉星は見つかった。

 しかし、彼女が琉星に駆け寄り、抱きしめ涙したその瞬間。
 伊澄の中で、戦闘機パイロットとしての使命や想いが、揺らいでしまった。

 彼女のために、彼女のそばにいたい。
 そう、思ってしまったのだ。

 この国の平和を守ることが彼女の幸せにつながると信じ、伊澄は空を飛んできた。彼女と再会してからも、子どもの存在を知ってからも、その思いは同じだった。

 だけど、千愛里が戦闘機に乗る自分に不安を抱いていると知った後の、あの出来事だ。
 あの瞬間、空から平和を守るのでは規模が大きすぎて、手元にある幸せを、自分にとって大事なものを、取りこぼしてしまいそうな気がした。

 自衛官として、有事の際には出動しなければならない。
 大切な人たちになにがあろうとも、優先すべきは〝国を守る〟という任務だ。

 もし、また琉星が迷子になったら? 千愛里が大変な状況に遭ったら?
 自分は、それでも行かなくてはいけない。
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