パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
戦闘機の速さで空を急上昇、急旋回を繰り返していると、地上に対して上下左右が分からなくなることがある。それが、空間識失調だ。
彼が上空だと思って飛んでいた方向は、上空ではなく海面だったのだ。
「はい」
清水の声が聞こえたが、彼の乗る機体は失速し、右回転に錐揉みをはじめた。
このままでは、海に真っ逆さまだ。
「オージさん、ダメです。左に倒しても戻りません」
清水の声は震えていた。パニックこそ操縦の大敵だ。
「一端中央に戻せ。ペダルもだ。それから操縦桿を前に倒すんだ!」
伊澄は努めて冷静に、必死に声をかける。清水と機体の能力を信じて指示することしかできないのがもどかしい。
同時に、もしあれが自分だったらと考えてしまい、操縦桿を握る手が微かに震えた。
千愛里に、こんな想いをさせたくはない。
「あと三秒。無理なら緊急脱出だ」
伊澄がそう言った瞬間。清水の機体はぐっと機首を持ち上げ、斜め上空に向かって飛び上がる。
清水の機体が水平になり、こちらへ戻ってきたのを確認すると、伊澄は安堵して百里へと無事帰投した。
彼が上空だと思って飛んでいた方向は、上空ではなく海面だったのだ。
「はい」
清水の声が聞こえたが、彼の乗る機体は失速し、右回転に錐揉みをはじめた。
このままでは、海に真っ逆さまだ。
「オージさん、ダメです。左に倒しても戻りません」
清水の声は震えていた。パニックこそ操縦の大敵だ。
「一端中央に戻せ。ペダルもだ。それから操縦桿を前に倒すんだ!」
伊澄は努めて冷静に、必死に声をかける。清水と機体の能力を信じて指示することしかできないのがもどかしい。
同時に、もしあれが自分だったらと考えてしまい、操縦桿を握る手が微かに震えた。
千愛里に、こんな想いをさせたくはない。
「あと三秒。無理なら緊急脱出だ」
伊澄がそう言った瞬間。清水の機体はぐっと機首を持ち上げ、斜め上空に向かって飛び上がる。
清水の機体が水平になり、こちらへ戻ってきたのを確認すると、伊澄は安堵して百里へと無事帰投した。