パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 彼はジーンズにTシャツというラフな格好で、胸元に大きなカメラをぶら下げている。
 隣にいる彼の恋人は、白のワンピース姿で、つばの広いベージュの帽子をかぶっている。

 一方の私はブラウスにスカート、パンプスという装いだが、仕事を抜けてきたので仕方ない。

「大雅! 由芽(ゆめ)さんも、お久しぶりです」

 私はふたりのもとへ駆け寄り、ぺこりと頭を下げた。

「お久しぶりです、千愛里さん」

 彼女は今日も、気品に満ちた笑みを私に向ける。私もつられて、頬が勝手に動いた。

 こう見えて、彼らは御曹司とご令嬢だ。大雅は小松市に本社を置く杉下建機の御曹司。一方の由芽さんは、茨城県に本社を置く石浜(いしはま)建機のご令嬢なのだ。

 ふたりは目配せをして、はにかみ合う。そんなふたりを見ていると、こちらまでむず痒くなってくる。

「本当に、ご一緒してよかったんですか?」

 思わず由芽さんに聞いてしまった。
 ふたりの恋は、秘密の恋。互いにライバル社の御曹司とご令嬢だから、誰にも秘密なのだ。
< 5 / 292 >

この作品をシェア

pagetop