パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 館内の見回り業務では、ついTー7の前で足を止めてしまった。

 伊澄さんに、結婚のことを伝えなければ。そう思うのに、できずにいるのは、まだ離れなくていい手段があるのではないかと思ってしまうからだ。

 伊澄さんがアラスカ行きの準備で忙しいのをいいことに、連絡しないでいる。
 そんな自分が、すごく嫌いだ。

 何度目か分からないため息をこぼしたまま、一日を終える。すると、閉館間際の博物館に滑り込んでくる客がいた。

「千愛里!」
「大雅……」

 彼がここにスーツ姿でやってくるなんて珍しい。
 だけどすぐ、彼は博物館を楽しみに来たわけでないと悟った。大雅はひどく慌てていたのだ。

「聞いたぞ、結婚のこと」

 彼の言葉に、肩が震えた。思わず視線を背けたけれど、大雅はわざと私の視界に入ってくる。

「表で待ってる。少し話せるか?」

 真剣な顔でそう言われ、私は小さく頷く。すると彼は、安堵したように博物館から出て行った。
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