パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 私との結婚は、まるで決定事項のようだった。こちらの事情などお構いなしの物言いは、カチンとくる。

 だけど、この結婚を受けなければ、父の会社は危うい状態のままだ。
 それで、本当にいいの?
 私の脳裏には、先日の水島さんの、悲痛な面持ちが思い浮かんでいた。

 いっそのこと、なにも考えないどこかへ行けたら。
 伊澄さんのもとへ逃げてしまえば、彼とふたりで幸せになれるだろうか――。

 ハイヤーに乗り、重たい気持ちで帰路につく。
 隣に座る父とは目を合わせたくなくて、私は窓の外、しとしとと雨を降らし続ける灰色の雲を見上げていた。


 翌日も、朝から頼りない天気だった。昨日よりも分厚い雲が空を覆っている。

 私は複雑な心境で、博物館の受付業務を行っていた。
 仕事の性質上、笑みを浮かべていないといけない。だけど、心の内は今日の空模様と同じだ。

 昨夜は涙が枯れるほど泣いた。だけど、どんなに泣いても事態が好転するわけはなく、ただ自分の置かれた状況を実感するだけだった。
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