パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 少しの間だったけれど、私だって帆風鉄工の一員だった。
 機械的に生きる毎日だったけれど、それでも水島さんや、色々と教えてくれた皆がいる。倒産になんてなったら、私は彼らに向ける顔がない。

 ごめんなさい、皆さん。

 私は胸のうちで懺悔をして、クローゼットから大きな鞄を取り出した。

 しかし、荷物を詰めようと鞄を取り出したところで、その中にいたつぶらな瞳と目が合った。
 はっとして、取り出した。伊澄ジュニアが、そこにいた。

〝ぼくはずっと、ここにいたよ〟

 伊澄ジュニアはまるでそう言うように、私を見つめてくる。

 私はそっと、自分のお腹を撫でた。
 ここにいるのは、伊澄さんとの子だ。脳裏には、あの日伊澄さんと描いた、幸せな未来が思い浮かんでいた。

 彼のそばにいることは、もう叶わない。
 だけど、愛する人との間に授かったこの子たちだから、守りたい。

「本物の、伊澄さんとの子どもたちだ。私が産んで、大切に育てよう」

 決意を胸に、鞄に荷物を詰め込んだ。もちろん、伊澄ジュニアも一緒だ。
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