DEAR 2nd 〜Life〜
─────…ヒヤッ…。
背中に冷たい水が走った。
「んもー!!!!今日は歯石取るテストでしょ?
このうっかり者~っ!」
「……あ……」
そうか、そうだった。
今日の実習テストだったんだ。
“ヤバい”と思ったのは、テストに焦ったんじゃない。
「─────…ッ……」
────そう。
手首の傷をカーディガンで隠せないから──……。
「…………」
─────カタカタ……
どう……しよう……
気持ちが急に下降していく。
だってこれ……
生々し過ぎる……よね……?
「彩?どうしたの?」
マキに心配気に顔を覗かれるけど、いくら何でもこんな事軽く言えない。
きっと引かれる──……
「彩?」
「……あ、ごめん……
先行ってて……」
「………………?
じゃ、先行ってるね?」
「うん、すぐ行く…」
─────パタン……。
マキが不思議そうに更衣室のドアを閉めたのを確認して
─────カチャッ!
無我夢中でロッカーを開け、咄嗟にポーチからコンシーラーとファンデーションを取り出す。
「────…っ……
……消えろ………っ」
─────ギュウッ!!!!!
消えて
お願い消えて
────グリグリ…っ!
コンシーラーを手首に押し付け、その上から必死でファンデーションを押した。
自分で付けた傷だって分かってる。
“昔の話だから”って明るく笑えない。
気持ち悪いって思われちゃう。
こんな行為、きっと誰にも理解されない───…
これは弱い証だから。
「……やだ……絶対やだ……」
好奇心で見られるのだけは絶対嫌だった。
……嫌
だった───……