DEAR 2nd 〜Life〜
────胸が痛かった。
いつまでこうやって過去の傷痕を隠しながら生きていかなきゃいけないんだろう、って。
……これは生きたい、死にたいって叫んでいた悲鳴。
けど誰にも言えない、言いたくない。
だって他人からしたら軽蔑されちゃうよね───……?
もし……
もし朝岡さんに知られたら───…?
あたしはあの人に、どんな思いをさせてしまうのだろうか……。
「──…では今日はスケーリングのテストをしますからね…」
─────……
聞こえてきた先生の声も、今は霞んであんまり聞こえなかった。
……だって朝岡さんに全てを見せるのが怖くなって、一歩怖じ気づいている自分がいたから。
───…あの優しい朝岡さんでも……
いくらなんでも、さすがにこれは気持ち悪がられるんじゃないかって……
──…ぼーっとしていると、
「──…ねぇ、見えた?」
「……え?どこどこ?」
─────ビクッ!
………え………
やだ、何……
「もー、だからぁ!
あっちに器具置いてあるじゃん、よく見てよ。」
「あー本当だ、ごめんごめん。」
────…………
あ………
何だ、器具の場所か……。
……よかった……。
────ほっ……
人が話している何気ない会話が全部怖かった。
────…ヒソヒソ…。
“囁かれているのは自分なんじゃないか”と
“見られているのは手首なんじゃないか”と
視線や噂話から自分を隠すのに必死で、怖くて怖くて……。
───その日は、想像以上に疲れて。
自分がこの時間をどうこなしたか、なんて全く覚えていないくらいだった。
……それでも……。
“明日は朝岡さんの為のデート服を買える”と。
“あと4日頑張ったら、朝岡さんとデート出来る”って。
“絶対朝岡さんに告白するから”
……って……。
“辛くても頑張れば、待ち望んでいた明日になるから”。
……ただそんな綺麗な希望を抱いていた。
───…それが
“手が届かない絶望”に形を変えるなんて──…
そんなこと、気付きもせずにいた。