DEAR 2nd 〜Life〜
「───では、こちらのケータイを解約されて、新規でこちらのケータイをご契約という形で宜しいですか?」
「はい。」
─────カタカタ……
目の前で店員さんが忙しそうにパソコンに入力登録を行い始め、
「…………」
あたしは、古いケータイと新しいケータイをジッと見つめていた。
───…事の発端となった今までのケータイは、もう見るのも触るのも嫌だった。
たとえメールアドレス変えたって、マキ達に電話番号は知られてるし。
また変なサイトとかに電話番号載せられたら厄介だし……。
「───…あ、すみませんお客様。
古いケータイのメモリはどうされますか?」
「え?」
突如振り向いた店員さんに、慌てて顔を上げる。
「新しいケータイに、今までの電話帳を移し代えておいてよろしいですか?」
「……あ……はい……」
「かしこまりました。
もう少々お待ち下さいね。」
────…数十分後。
「ありがとうございました。」
─────ウィーン……。
あたしは真新しいケータイと紙袋を持って、ショップの自動ドアをくぐっていた。
「……ふぅ……」
ケータイを代え、少しだけスッキリしたあたしは空を見上げた。
───…さてどうしようか……。
………せっかく外に出てきたんだし、このまま家に帰るのもなぁ……。
家に帰ったって、塞ぎこむのは100%分かってるし……。
「────ぶらぶらするか……。」
……自分で自分を励ましたかったのか……
それが、今唯一自分で出来る精一杯のポジティブ行動だった。
「───いらっしゃいませー。」
あたしは特に宛ても何もなく街に繰り出し、フラリと“スターバックスコーヒー”に立ち寄った。
ここは一人暮らしをしてから偶然発見して、学校帰りとか暇な時とかにも一人で訪れたりしていた。
───注文を終え、温かいコーヒーを店員から受け取り、
─────キィッ……
“天気がいいから”と、
あたしはドアを開けて店外の席に座った。
────そして
─────カチッ……
あたしはさっき買ったばかりのケータイを取り出し、電源を入れた。