DEAR 2nd 〜Life〜





「──…ぶんちゃん…

あたしの事、何か言ってた?」






……きっと酷い言われ様だろうな。




“信用ない女”とか。


“軽い女だから気を付けて下さいね”とか?





────…ザァッ……



────…ザザン……





「…………」




どうしてだろう。



波の音が、過去を戒めるかのようにやけに耳に響く。




疎外感が余計に増すよ…。






────その時だった。



朝岡さんが、口を開いたのは。






「───…ううん。


ただ、“彩を頼みます”ってそう言ってただけ……。」






─────…え?



“頼みます”………?






「……うそ……」




───…それだけ?





「ほんま。

あいつは最後まで彩のこと思ってたよ。


……彩の悪口なんか一言も言ってなかったし、むしろ自分を責めてた。」





─────……







“俺は彩の幸せを一番に願ってるよ”







…………………





優しい手紙の言葉を思い出す。




チヒロさん達にも、別れてる事を言わなかったぶんちゃん。



あたしに否がある事を、周りに触れられないようにしてくれた、彼なりの最後の優しさなのだろう。





─────でも






「………違う……っ」




「え?」




「───…違うんだよ───……っ!!!!!


全部あたしが悪いの………っ!!」






あなたは悪くない。



悪くないじゃない?






……ねぇ苦しい。




あなたが残していった、

その優しさが苦しいよ。




どうしてそこまでしてあたしを庇うの?



どうして最後の最後まで優しくしてくれるの?




悪いのはあたしなのに。



もっとあたしを悪者扱いしてよかったのに。



もっと周りに“最低な女だった”って言い振らしても良かったのに。






「────……ッ……」







あなたのその優しさが、今もあたしを追い詰める。




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