DEAR 2nd 〜Life〜
「……違うの……あたしが……
あたしが全部悪いの…。
一瞬でもぶんちゃんの事信じられなくなったから……」
だから
だから───…
「…………彩……」
────ギュウウッ…!!
……ポケットの中。
自分でも気付かないくらいに強く、きつくアメジストを握り締め……
────深く、後悔する。
どうしてあんなことをしてしまったのだろう。
どうして裏切ったりしてしまったのだろうと──……。
あの時してしまった小さな出来事が、今や大きな傷痕に変わろうとしていた。
……時は過ぎ去れど、
ふとした瞬間に訪れる思い出は、まだちっとも優しくなんかない。
辛い出来事が優しい思い出に変わる日なんて、本当に来るのだろうか。
……来ると思えない。
だってまだこんなに胸が張り裂けそうなのに。
いつこの痛みの波は引くの?
いつになったらあたしは前を向けるの?
───きっと波は引かない。
────前は向けない。
───…だったら
もう捨ててしまおうか……
もう忘れてしまおうか……
………そうだよ。
もういっそ、何もかもなかったことに───……
「…………っ」
━━━━━━バッ!
ポケットから勢いよく、
アメジストを海に放り投げようとした時だった。
「────待て……っ!!!!」
━━━━━グッ!!
…………え………?
アメジストを放り投げようとしたその手は、朝岡さんに掴まれ、動きが止まっていた。