DEAR 2nd 〜Life〜





「……違うの……あたしが……


あたしが全部悪いの…。


一瞬でもぶんちゃんの事信じられなくなったから……」






だから



だから───…





「…………彩……」





────ギュウウッ…!!



……ポケットの中。




自分でも気付かないくらいに強く、きつくアメジストを握り締め……





────深く、後悔する。




どうしてあんなことをしてしまったのだろう。


どうして裏切ったりしてしまったのだろうと──……。




あの時してしまった小さな出来事が、今や大きな傷痕に変わろうとしていた。




……時は過ぎ去れど、

ふとした瞬間に訪れる思い出は、まだちっとも優しくなんかない。




辛い出来事が優しい思い出に変わる日なんて、本当に来るのだろうか。






……来ると思えない。




だってまだこんなに胸が張り裂けそうなのに。





いつこの痛みの波は引くの?


いつになったらあたしは前を向けるの?






───きっと波は引かない。




────前は向けない。





───…だったら



もう捨ててしまおうか……



もう忘れてしまおうか……





………そうだよ。




もういっそ、何もかもなかったことに───……





「…………っ」




━━━━━━バッ!





ポケットから勢いよく、

アメジストを海に放り投げようとした時だった。







「────待て……っ!!!!」







━━━━━グッ!!







…………え………?







アメジストを放り投げようとしたその手は、朝岡さんに掴まれ、動きが止まっていた。





< 24 / 475 >

この作品をシェア

pagetop